官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
美海side
目を覚ますと、見知らぬ天井と照明が視界に飛び込んできた。
「えっ?」
慌てて体を起こすと、裸の胸からシーツがするりとベッドに落ちた。素肌に散る赤い跡に、昨夜の記憶が次々に甦ってくる。
「そっか、私……」
私は、貴裕さんと結ばれた。嬉しさと恥ずかしさで体が熱くなる。でもすぐに、我に返った。部屋はシンと静まり返っていて、隣に寝ていたはずの貴裕さんがいない。
「貴裕さん?」
ベッドから降りて、部屋の中を見て回る。夕べは明かりをつける暇もなかった。明るくなった部屋を改めて見回すと、その豪華さに改めて息を呑む。
「……この部屋どれくらいするんだろう。次会った時に返せるかな?」
初めての夜だから、貴裕さんも頑張っていい部屋を選んでくれたのかもしれない。私の稼ぎでは一度では無理かもしれないけれど、半分だけでも返さなきゃ。
一通り部屋を見て回ったけれど、やはり貴裕さんの気配はない。
ひょっとして私、置いて行かれた……?