官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
 急に不安に襲われ焦っていると、ベッドサイドのテーブルの上に、一枚のメモが載っているのに気がついた。

 銀色のペーパーウェイトをどかし、メモを手に取る。貴裕さんからのメッセージだ。

 男の人らしい、硬質な文字で、仕事でどうしても先に出なければならないことと私からの連絡を待っていること、そしてプライベート用の携帯の番号が書いてあった。

 よかった、置いていかれたわけじゃなかった。

 私にとっては本気の恋でも、貴裕さんにとってはそうでなかったらと思うと不安でたまらなかった。それが彼からのメモを見た途端、こんなにも気持ちが舞い上がる。

 私はメモを丁寧に折りたたむと、いつも持ち歩いている手帳に挟み、鞄の中に仕舞い込んだ。


 本来なら、日曜はアトリエ・ラパンは店休日だ。でも、店内には切り花だけではなく、鉢植えのグリーンや花の苗も置いてある。植物達の様子を見るため、私はホテルから直接店へと向かった。

 まだ少し軋む体で、鉢植えや苗に水をやり、大きく広げたグリーンの葉を軍手を嵌めた手で拭き取る。たまにほこりを取ってやらないと、光合成を阻害しグリーンの元気がなくなってしまうのだ。

 小さな店舗とはいえ、鉢植えの数は相当ある。葉一枚一枚を根気強く拭いている時だった。

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