官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
「店長、大丈夫ですか？」

「大丈夫って、何がですか？」

「最近ボーっとしていることが多いし。……顔色もあんまりよくないですよ」

　そういえば、最近あまり食欲がない。眠りも浅く、夜中や朝方に数度目覚めてしまう。

　原因なら、わかっている。貴裕さんのことだ。仕事以外のことが気になって、瑞季さんにまで心配をかけてしまうなんて、我ながら不甲斐ない。

「心配かけてすみません。私なら大丈夫ですから」

　これ以上心配はかけまいと、精一杯の笑顔を作る。でもそんな自分を惨めだと感じた。

　結局、貴裕さんとはずっと会っていない。私の方から連絡することもないまま、でも気持ちはずるずると引きずってしまっている。

「大丈夫ならいいんですけど、無理はしないでくださいね」

「ありがとうございます。そうだ瑞季さん、サービス品のブーケ作ってもらえます」

「やったぁ、やりますやります」

「そうだなぁ、売価は五百円で」

「了解です！」

　瑞季さんが作るアレンジはとても評判がいい。たぶん今日も、店先に出した途端に売り切れるだろう。

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