官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました

 数日後。私は午前中だけ休みをもらい、瑞季さんに紹介してもらった病院へ向かった。

 妊娠は、やはり間違いではなかった。

「六週目に入ったところですね。この黒い穴が胎嚢。画像ではまだ確認できませんが、この中に赤ちゃんが入っています」

 診察をしてくれた女性医師が、エコー写真を見ながら説明してくれた。本当に私のお腹の中に、貴裕さんとの赤ちゃんがいるのだ。

 意外なことに、最初に湧いてきたのは喜びにも似た感情だった。けれど医師の説明を聞いて、すぐに気持ちは下降する。

「須崎さん、ご結婚はされてませんよね。今後のことを次回までに決めてきてください」

 今後のこと。それはつまり、赤ちゃんを産むかそれとも産まないかということだ。

「もし出産を希望されない場合は、パートナーの方の同意が必要となります。まあ、詳しいことはまた次回ご説明しますね」

「わかりました」

 病院を出て、深いため息を吐いた。どうするにしろ、私ひとりでは、決められない、決めてはいけないことなのだ。

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