官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました

 翌日、瑞季さんは朝から夕方までのフルタイム勤務。客足が途絶えた時間があり、自然と子供の話になった。

 覚悟は、決まっていた。子供は産む。貴裕さんには話さない。私ひとりで、この子を立派に育ててみせる。腹をくくってしまえば、案外さっぱりしたものだった。

「そうですか、決めたんですね」

「はい。瑞季さんにはご迷惑をおかけするかもしれないんですが」

「そんなこと気にしないで、どんどん頼ってください。子供のことに関しては、私の方が先輩なんだし」

 すぐ近くに瑞季さんがいるというのは、大きな安心材料だった。瑞季さんも、可能な限り協力すると言ってくれた。

「となると、あとはオーナーですね。どうしたって、出勤できない時期が来るわけだし」

 生活がかかっているから、できるだけ早く復帰したい。それでも、出産前後の時期と子供が生まれてから、少なくとも数か月は休まなければならない。その間の人員補充もお願いしなければならないだろう。

「そういうところ、オーナーも理解のある人だと思うんですけどね」

 私も、そう願わずにはいられない。

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