官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
「でもひとつだけ言わせてね」

「何?」

「一企業の社長をしている時田さんが一週間もの休みを取ってあなたに会いに来るなんて、そうそうできることじゃないと思うの」

 確かにそうだろう。昨日この島に着いた時の貴裕さんは、明らかに疲れ切っていた。休みを取るために仕事を詰め込んだに間違いない。

「そうまでしてあなたと貴斗に会いに来たことの意味、ちゃんと考えて」

「それって……」

「ズルはダメ。ちゃんと自分で考えるのよ」

「わかったわ、考えてみる」

 そう言うと、素子さんはふふふと笑う。「何かあったらいつでも相談するのよ」と言って、素子さんは厨房の中に消えて行った。

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