13番目の恋人
「はい、何ですか?」
『俺と君は恋人って認識で良かったのかな?』
「……はい。野崎さんもその認識だと嬉しいです」
『……そうか、よかった。じゃあ、明日は仕事出なきゃならないから、日曜日会わないか?』
「は、はい、大丈夫です」
『うん、じゃあ日曜日何時に待ち合わせしようかな』
「6時!」
『……それは、夕食を一緒にってこと?』
「いえ、朝の」
『早いね』
「そうですか、早く会いたくて……」
『……じゃあ、朝起きたら電話するから、そこからすぐに会おう、それでいい?』
「はい、楽しみに、してます。その、会えるの」
『はい、俺も。あ、そうだ、俺も恋人認識してるからね』
 
短い電話だったけれど、優しい声だった。こんな時間までお仕事で疲れているだろうに、それに明日もお仕事か。

ああ!それなのに日曜日6時とか言っちゃった!そうだよね、疲れているのだから、朝はゆっくり寝たいよね。私って何て気が利かないのだろう。日曜日はゆっくりしてもらおう。手料理でも作ってもてなそうかな。
 
……椅子もないのだった。立ち食いになってしまう。どうしよう……。床に座って貰おうか。それなら、もう少しふわふわのクッションを用意しようか。
 
思いついたらすぐに行動しよう。椅子は持って帰られないけれど、クッションくらいなら抱いて帰れるから。
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