13番目の恋人
だから、
「私も」キスが終わるとそう言った。
彼の目は優しく細められたまま。ふと、初めての感情が胸に込み上げる。まただ。彼といたら、冷静な私がいなくなってしまうような感覚になる。なんだろう、今キスしてもらったばかりなのに、もう一度して欲しくて、少し近づいて目を閉じた。察した彼が、もう一度キスしてくれる。キスしているのに、キスして欲しくて戸惑う。
離して欲しく、ない。離れたくない。誰かとのキスでこう思うのは初めてだった。
じっと見つめていると、彼は困ったように眉を下げた。
「やっぱり、どこか出掛けないか? ほら、俺、疲れてないからさ」
「困らせてますか、私……」
「……そうじゃないけど、まだ時間もたっぷりあるしね、初めてのデートでずっと家にいるっていうのもね。仕事も忙しくなるし、あんまり時間も取れなくなるかもしれないからさ。俺たちにはあんまり時間もないし……」
「早急に親睦を深めないと駄目なら、私はここにいたいです。外に出ると誰かの目を気にしなきゃならないでしょう?」
「別にね、疚しいことをしているんじゃないよ。俺は君が好きだし、堂々と手を繋いで太陽の下を歩いたって構わないよ」
「誰かと結婚するギリギリまで他に恋人がいたことが露見したら、お相手に嫌な思いをさせませんか?」
私たちは確かにちゃんと付き合っているのだけれど、私はそれ以上に後ろめたさがあった。
「私も」キスが終わるとそう言った。
彼の目は優しく細められたまま。ふと、初めての感情が胸に込み上げる。まただ。彼といたら、冷静な私がいなくなってしまうような感覚になる。なんだろう、今キスしてもらったばかりなのに、もう一度して欲しくて、少し近づいて目を閉じた。察した彼が、もう一度キスしてくれる。キスしているのに、キスして欲しくて戸惑う。
離して欲しく、ない。離れたくない。誰かとのキスでこう思うのは初めてだった。
じっと見つめていると、彼は困ったように眉を下げた。
「やっぱり、どこか出掛けないか? ほら、俺、疲れてないからさ」
「困らせてますか、私……」
「……そうじゃないけど、まだ時間もたっぷりあるしね、初めてのデートでずっと家にいるっていうのもね。仕事も忙しくなるし、あんまり時間も取れなくなるかもしれないからさ。俺たちにはあんまり時間もないし……」
「早急に親睦を深めないと駄目なら、私はここにいたいです。外に出ると誰かの目を気にしなきゃならないでしょう?」
「別にね、疚しいことをしているんじゃないよ。俺は君が好きだし、堂々と手を繋いで太陽の下を歩いたって構わないよ」
「誰かと結婚するギリギリまで他に恋人がいたことが露見したら、お相手に嫌な思いをさせませんか?」
私たちは確かにちゃんと付き合っているのだけれど、私はそれ以上に後ろめたさがあった。