13番目の恋人
私の、自分が座れたらいいかと思って買った1.5人がけのソファとは違い、どっしりとした革張りのソファ。二人でもゆったりと座れるくらいの大きさだ。私のように、一時的に住むマンションではなさそうだ。

 冷蔵庫も、食器も勝手に使ってと言われたけれど……水羊羹だけ冷蔵庫に入れると、ソファの端に、そっと腰かけた。
 
あまり、じろじろ見るのは失礼よね。とはいうものの、何時に帰ってくるかわからない彼を待つ時間、何をしようか。
 
……というか、なぜ私は彼の家に呼ばれたのだろう。彼は明日も明後日もお仕事だと聞いていた。エレベーターの中での彼は、特に表情もわからなかった。疲れているのだと思っていたけれど家でしか出来ないような……話があるということだろうか。それは……もしかすると、お見合いの話が進みだした、とか?
 
だとしたら、ここでその人と住むのだろうか。仕方がないのだけれど、それなら、ここに私は来たくなかった。自ずと暗い思考に支配されそうになった時、ドアの外から電子音が聞こえ、ロックが解除された。
 
「やあ、待たせたね」
「あ、お、お帰りなさい」
 
気づけば数時間が経っていて、時刻は夜も遅く、11時近くになっていた。
< 130 / 219 >

この作品をシェア

pagetop