13番目の恋人
第19話
頼人
「叩っ切ってやる!」
時代錯誤なセリフはスマートなスーツ姿の男から。勿論、刀など下げてはいない。
怒りが最高潮でよくわからなくなっているのか、はたまた……アニメの観すぎか。
「……落ち着け」
「落ち着いてられるか」
常務室は、個室であるが、こんなに声を荒げては廊下にも響いているだろう。
「いかが、されましたか?」
案の定、ドア越しに《《万里子さん》》の声が聞こえた。
「大丈夫だよ、万里子さん」
俺がそう言うと
「ああ、野崎さんがいらっしゃったのですね」
と、戻って行った。
俊彦は万里子さんの声を聞いて、いくらばかりか落ち着きを取り戻した。
────
事の発端は……
俊彦がかけてきた、香坂小百合の電話に、俺が代わりに出た事だった。
その時の電話は、事情を説明すると、一先ず、宅配業者が来るだろうから、俺が受けとるようにと指示すると、そのまま切れた。直ぐにもう一度かけてくると
『いいか、絶対に手を出すなよ。小百合が起きたら直ぐに帰れよ!』と、怒鳴るように切られた。
彼女のスマホが鳴った時、俊彦の名前が出たもので、つい出てしまったが……それがまずかったのだろうか。
確かに休みの日の朝に俺が彼女の家にいるのは不自然だ。
時代錯誤なセリフはスマートなスーツ姿の男から。勿論、刀など下げてはいない。
怒りが最高潮でよくわからなくなっているのか、はたまた……アニメの観すぎか。
「……落ち着け」
「落ち着いてられるか」
常務室は、個室であるが、こんなに声を荒げては廊下にも響いているだろう。
「いかが、されましたか?」
案の定、ドア越しに《《万里子さん》》の声が聞こえた。
「大丈夫だよ、万里子さん」
俺がそう言うと
「ああ、野崎さんがいらっしゃったのですね」
と、戻って行った。
俊彦は万里子さんの声を聞いて、いくらばかりか落ち着きを取り戻した。
────
事の発端は……
俊彦がかけてきた、香坂小百合の電話に、俺が代わりに出た事だった。
その時の電話は、事情を説明すると、一先ず、宅配業者が来るだろうから、俺が受けとるようにと指示すると、そのまま切れた。直ぐにもう一度かけてくると
『いいか、絶対に手を出すなよ。小百合が起きたら直ぐに帰れよ!』と、怒鳴るように切られた。
彼女のスマホが鳴った時、俊彦の名前が出たもので、つい出てしまったが……それがまずかったのだろうか。
確かに休みの日の朝に俺が彼女の家にいるのは不自然だ。