13番目の恋人
「それから、俺も小百合の家へ足しげく通うことになったが、向こうの家族ともすっかり仲良しで、姉さんと結婚したらどうかーとまで言われるほどになったんだが、藤子(とうこ)さんは……って、ここは割愛する」

「そうしてくれ」久しぶりに俺は口を開いた。
 
「小百合は、『お兄ちゃんと結婚するー』なんて、言っててな。つい、イラッとしてしまって、皆が聞いてないタイミングで小百合にこっそり言ったんだ。『兄妹では、結婚出来ないんだぞ』って」
「せこい」
「何とでも言え。そしたら『じゃあ、俊くんと結婚する!』って、言ったんだ、可愛かったなあ。 可愛いんだ。だから、俺は『じゃあ、今日から恋人だね……と』確か、小百合は幼稚園の時だった。小百合の通う幼稚舎の制服がもうたまらんくらい似合ってた」
 
「……まさか」
「うん、どうやらそれが元彼認定。いや、いつ別れた事になってんだろ。つか、元彼認定ってことは、あの約束、覚えてたんだ」
 
 にやにやしてる俊彦に苛立ちを覚え
 
「気持ち悪い」と一言言ってやった。
 
 今のお前も中坊のお前もな!と、更に付け加えてやった。 
 
「あいつ、ヤバいだろ?」
「お前もヤバいわ」
 
「はは! だから12人のうち何人かはそんなのな可能性はあるぞ。それにしてもあいつ! マジで切ってやりてぇ」
 
 そうだ、叩き切るんだっけか、その彼女の初体験の相手を……。
 
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