13番目の恋人
 手を出すつもりはなかったけれど、やっぱり愛しくて、彼女に触れた。
 
 それに、大宮と並んだ姿が妙にお似合いに見えて、焦ったのだと思う。
 いつか、出先で見つけたお揃いのパジャマ。新婚ならば、お揃いかなとまだ彼女の家族に許可ももらっていないのに、先走って買った。
 見立て通り可愛くて、とても似合う。俺も、似合ってるかなと、褒めてくれるかと思ったが、彼女からは特にそれには触れられなかった。
 
 まあ、可愛くて可愛くて、直ぐに脱がしてしまったのだけれど。
 
 予想通り、彼女はとても過去に12人も恋人がいたとは思えない様子だった。潤んだ目で俺を見上げ、透けるような白い肌を上気させる。必死で俺にしがみついてくる姿は愛しい以外の言葉は見つからなかった。
 
 彼女の開いた口から、可愛い声が我慢出来ずにだろうか、小さく漏れる。
 
 鈴が転がるような声だと、初めて聞いたときに思ったっけ。可愛い、声。可愛い。何もかも可愛い。俺の……小百合。
 
 すうすうと安心しきって横で眠る。……俺が悪い男なら、どうする気だ?
 
 渡したくはなかった。誰にも。
 彼女はまだ……あのリストを持っているのだろうか。
 
 急ごう。なるべく。早く安心させてやりたい。早く……彼女の寝顔に誓った。絶対に彼女を幸せにする、と。

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