13番目の恋人
 日曜日なら、全員が揃うからと彼女の家へ向かった。

「俊彦の紹介で」と、慶一郎が前もって説明してくれていた。
 彼女の家族は、慶一郎と彼女からもわかるように、気難しい人たちではなかった。ただ、恋愛で結婚すると言えば、こちらの事を調べる可能性もある。上の世代なら余計、見合いだという安心感があるらしい。やはり、見合いの形がベストだ。何より一番早いだろう。そのためには、余計な事は言うべきではないと結論づいた。

 それを彼女に話しては、彼女は隠し事が出来ないタイプなので、どこからかほころびが出るかもしれない。本人に言わない方が良いだろう、俊彦も、それから、慶一郎も同じ意見だった。
 
「幸せな結婚をさせてやりたい」
 
 みんなの目指すところが一つなのだから、絶対に成功する。ほんの少し、彼女には待ってもらおう。
 
「まあまあ、わざわざありがとうございます」
 到着したのは、旅館さながらの日本家屋。手入れの行き届いた日本庭園に茶室まである。白砂の中庭を通り、和室へと案内された。
 
 どーん!と、擬音語が聞こえそうなくらい、全員集合だ。この日で決まるのだ。緊張の中に強い決意で心を保った。
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