13番目の恋人
「良かったな」この日は、久しぶりの俊彦とのサシ飲みだった。
「おめでとう」と言われてグラスを合わせた。
「お前のお陰だ」俺がそう言うと、「その通りだ」と、俊彦は笑った。
「小百合にお前だけは駄目だと言ったのが、なんというか、逆効果に働いて、それはお前もそうだ。人間って、背徳感に弱いのかね……」
「今は、“駄目”じゃなくて心底良かったと思っている」
「小百合が、幸せそうなんだよな。幸せ、なんだろうな」そう言って目を細めた。兄のような顔で。
「俺が幸せだからなあ」と言うと
「お前に興味ない、小百合しか興味ない。いや、でも小百合といて幸せじゃない男なんているのか?」
この男は、真顔で……そう言うのだ。でも、確かにそうだからな。
「そう……だな」
「まあ、俺としても一気に二人片付いたし、願ったり」とは言うものの、俊彦はほんの少し寂しそうに笑った。
「万里子さん、早く帰れとか言わないのか?」
「あー、今日はハンモックヨガ行ってていないんだよな」
ハンモックヨガ?
「なーんか、よくわからんけど、ずっと家にいないんだよな。あの健康マニア」
「いいじゃないか、多趣味で」
「まあな、スケジュール管理が完璧だ。小百合は? 健気に待ってそうだな」
「彼女、何も言わないからな」
「あー、あいつ感情あまり出さないからな。わかってないのかもな、嫌だって思っても、どう伝えていいのか。……うまくお前が聞き出してやってくれ。泣かすなよ」
「大丈夫だ」
「そうだな、もう心配することは、ない」
寂しそうにそう言った。
「俺は、小百合が可愛い」
だから、大事にする。
今度は俺が言うと、俊彦は満足そうに笑った。
「おめでとう」と言われてグラスを合わせた。
「お前のお陰だ」俺がそう言うと、「その通りだ」と、俊彦は笑った。
「小百合にお前だけは駄目だと言ったのが、なんというか、逆効果に働いて、それはお前もそうだ。人間って、背徳感に弱いのかね……」
「今は、“駄目”じゃなくて心底良かったと思っている」
「小百合が、幸せそうなんだよな。幸せ、なんだろうな」そう言って目を細めた。兄のような顔で。
「俺が幸せだからなあ」と言うと
「お前に興味ない、小百合しか興味ない。いや、でも小百合といて幸せじゃない男なんているのか?」
この男は、真顔で……そう言うのだ。でも、確かにそうだからな。
「そう……だな」
「まあ、俺としても一気に二人片付いたし、願ったり」とは言うものの、俊彦はほんの少し寂しそうに笑った。
「万里子さん、早く帰れとか言わないのか?」
「あー、今日はハンモックヨガ行ってていないんだよな」
ハンモックヨガ?
「なーんか、よくわからんけど、ずっと家にいないんだよな。あの健康マニア」
「いいじゃないか、多趣味で」
「まあな、スケジュール管理が完璧だ。小百合は? 健気に待ってそうだな」
「彼女、何も言わないからな」
「あー、あいつ感情あまり出さないからな。わかってないのかもな、嫌だって思っても、どう伝えていいのか。……うまくお前が聞き出してやってくれ。泣かすなよ」
「大丈夫だ」
「そうだな、もう心配することは、ない」
寂しそうにそう言った。
「俺は、小百合が可愛い」
だから、大事にする。
今度は俺が言うと、俊彦は満足そうに笑った。