13番目の恋人
番外編
小百合
金目鯛の煮物。里芋のにっころがし。蕪と油揚げのお味噌汁。フルーツは蜜の入ったりんご。今日は洋菓子も和菓子もなし!(おやつの時間に食べたから)
頼人さんは、食べ物の好みが渋い。特にお魚が好き。
「旨そうだね」
頼人さんは嬉しそうにそう言った。小さなラウンドテーブルいっぱいに食事を並べ、二人同時に席に着いた。
「ねえ、これはね頭芋って言うんです。里芋の品種ではなくて、親芋。京都の方ではお正月の縁起物なんですって」
お料理教室で教えてもらった情報をすぐに伝えたくて、食卓に並べた。頼人さんは私の話にうんうん頷きながら嬉しそうに食べてくれた。
「美味しいね」と、優しく笑ってくれる。
「でも、正月も過ぎてだいぶ経つけれど、今?」
「うん、お料理教室では説明を聞いただけだったんだけれど、せっかくだから」
「何か縁起のいいことでも?」
「ないよ、全く」
そう言うと、頼人さんは少し目を見開き、また優しく笑った。
「そっか、ありがとう」
「うん、頼人さんも、お疲れ様でした」
「いや、俺は全然。小百合は疲れただろう」
「疲れたけど、ずっと疲れてたい、疲れだもん」
私たちは無事に、夫婦になった。世間的にも御披露目したし、それから戸籍的にも。
ようやく日常に戻ってきた、そんな日の一時だった。
頼人さんは、食べ物の好みが渋い。特にお魚が好き。
「旨そうだね」
頼人さんは嬉しそうにそう言った。小さなラウンドテーブルいっぱいに食事を並べ、二人同時に席に着いた。
「ねえ、これはね頭芋って言うんです。里芋の品種ではなくて、親芋。京都の方ではお正月の縁起物なんですって」
お料理教室で教えてもらった情報をすぐに伝えたくて、食卓に並べた。頼人さんは私の話にうんうん頷きながら嬉しそうに食べてくれた。
「美味しいね」と、優しく笑ってくれる。
「でも、正月も過ぎてだいぶ経つけれど、今?」
「うん、お料理教室では説明を聞いただけだったんだけれど、せっかくだから」
「何か縁起のいいことでも?」
「ないよ、全く」
そう言うと、頼人さんは少し目を見開き、また優しく笑った。
「そっか、ありがとう」
「うん、頼人さんも、お疲れ様でした」
「いや、俺は全然。小百合は疲れただろう」
「疲れたけど、ずっと疲れてたい、疲れだもん」
私たちは無事に、夫婦になった。世間的にも御披露目したし、それから戸籍的にも。
ようやく日常に戻ってきた、そんな日の一時だった。