13番目の恋人
頼人
結婚する前に、話しておこうと思った。それで小百合がどう思うかわからないが、いつだって小百合には誠実でいたい。
過去に婚約までした女性がいたことを話した。……案の定、小百合は“金目当て”などというのに全然ピンと来ていなかった。
「過去は関係なくなっちゃう、でしょ?」
と、笑った。
笑ってくれてほっとしたのもつかの間、小百合は単に俺が過去の彼女の話をしたのだと思ったのだろう。俺だけ話すのは忍びないと思ったのか
「じゃあ、話してくれたお礼に、私も過去の恋人の話をするわね。12人順番に。ちゃんと覚えていない人もいるのだけれど……」
と、言い出したの慌てて止めた。ほとんどが幼少期の話なんだろうけれど、数人は《《本当の》》元彼が混じってそうだから遠慮した。
俺は婚約破棄……という結婚するなら問題になるかと思ってカミングアウトしたんだが……小百合には通じなかったみたいだ。……気にしない。ということだろう。そんなところまで考えが及んでいないということか。ざらざらした物を全く持たない、純真無垢な存在。このまま、守ってやりたい、そう思う。
『あいつ、ヤバいんだよ』俊彦がそう言った意味がわかる。確かに、ヤバい。可愛すぎてヤバい。
過去に婚約までした女性がいたことを話した。……案の定、小百合は“金目当て”などというのに全然ピンと来ていなかった。
「過去は関係なくなっちゃう、でしょ?」
と、笑った。
笑ってくれてほっとしたのもつかの間、小百合は単に俺が過去の彼女の話をしたのだと思ったのだろう。俺だけ話すのは忍びないと思ったのか
「じゃあ、話してくれたお礼に、私も過去の恋人の話をするわね。12人順番に。ちゃんと覚えていない人もいるのだけれど……」
と、言い出したの慌てて止めた。ほとんどが幼少期の話なんだろうけれど、数人は《《本当の》》元彼が混じってそうだから遠慮した。
俺は婚約破棄……という結婚するなら問題になるかと思ってカミングアウトしたんだが……小百合には通じなかったみたいだ。……気にしない。ということだろう。そんなところまで考えが及んでいないということか。ざらざらした物を全く持たない、純真無垢な存在。このまま、守ってやりたい、そう思う。
『あいつ、ヤバいんだよ』俊彦がそう言った意味がわかる。確かに、ヤバい。可愛すぎてヤバい。