13番目の恋人
今を……楽しむ。

俊くんもそう言ってくれた。万里子さんは、少し俊くんに似てるのかもしれない。年齢も同い年くらいだったかな。

そうか、万里子さんの方が私より俊くんと一緒にいるものな。俊くんが万里子さんにも言ってるのかもしれない。それとも、二人が元々似ているのかな。

大人の女性。なんとなくぼんやりと、もう少し若い頃にイメージした理想の大人の女性だ。憧れるようなものを全て持っているような。いずれ、私もそうなるのだと思っても、なれないだろうなと比較してしまうような。


「万里子さんは……」
独身だったよね。ふと、思ったけれど、それを聞くのは不躾だろうか。私の戸惑いを感じ取って

「いいわよ、どんな事でも聞いて。答えたくなかったら、正直に言うから」
万里子さんは、にっこりと笑う。私も、ラウンドテーブル欲しくなっちゃったな。なんて一人言を言いながら。

「……恋人、いらっしゃいますか?」

万里子さんは少し驚いた顔をしたけれど、またすぐに笑顔に戻ると。

「まだ、もう少し秘密なのだけれど、結婚するの」

恥ずかしそうにそう言った。……あ、だからさっき新婚さんのディスプレイを見ていたのだろうか。

「わあ、おめでとうございます! いいなあ」

つい、最後に一言、付け加えてしまった。
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