13番目の恋人
「ほらなー」
大宮くんがそう言ったことで、みんなそれぞれ元通り会話を始めた。
俯いたまま聞こえる声は、ほぼ女性のもので、そのほとんどが室長に向けられているのだと気づく。
「……モテるんだ」
思わず言ってしまった一人言を大宮くんが拾ってくれた。
「そりゃね、あんな見た目だしね。それに、優しい。ついでにこんな飲み会なんて参加する人じゃないから、今日はかなり貴重」
「無理して来てくれたのかな……」
「いや、嫌なら嫌って言うさ。香坂さんが来るのだって貴重だって。な?」
「……うん」
チラリと前の室長を見ると、ばちっと目が合い、かあっと顔が熱くなるのを感じた。確かに、素敵な人だと思う。賑やかな女性達の言葉に優しく微笑んで相槌を打つ。
すっきりとした瞼、整った眉の形、瞬きで動く睫毛、すっとした鼻筋……さすがに顔はジロジロ見れなくて、視線を下げる。大きな手、爪も綺麗な形。上品な食事マナー。
「あ、そうだ、聞きたかったこと、まだだったね」新庄さんが、そう言うと野崎さんに向けていた体を私の方へ向けた。
「ねぇ、常務ってどんな人なの? なんか園田さんには聞きづらくて」
「いや、どのみち香坂さんにも聞きづらいでしょ」
北口さんがそう言った。やっぱり秘書はそうなのだろうか。
大宮くんがそう言ったことで、みんなそれぞれ元通り会話を始めた。
俯いたまま聞こえる声は、ほぼ女性のもので、そのほとんどが室長に向けられているのだと気づく。
「……モテるんだ」
思わず言ってしまった一人言を大宮くんが拾ってくれた。
「そりゃね、あんな見た目だしね。それに、優しい。ついでにこんな飲み会なんて参加する人じゃないから、今日はかなり貴重」
「無理して来てくれたのかな……」
「いや、嫌なら嫌って言うさ。香坂さんが来るのだって貴重だって。な?」
「……うん」
チラリと前の室長を見ると、ばちっと目が合い、かあっと顔が熱くなるのを感じた。確かに、素敵な人だと思う。賑やかな女性達の言葉に優しく微笑んで相槌を打つ。
すっきりとした瞼、整った眉の形、瞬きで動く睫毛、すっとした鼻筋……さすがに顔はジロジロ見れなくて、視線を下げる。大きな手、爪も綺麗な形。上品な食事マナー。
「あ、そうだ、聞きたかったこと、まだだったね」新庄さんが、そう言うと野崎さんに向けていた体を私の方へ向けた。
「ねぇ、常務ってどんな人なの? なんか園田さんには聞きづらくて」
「いや、どのみち香坂さんにも聞きづらいでしょ」
北口さんがそう言った。やっぱり秘書はそうなのだろうか。