13番目の恋人
仕事で知り合った女性とごく自然に恋に落ちた。そう思っていた。穏やかで欲のない彼女となら、いつしか結婚も意識した。
「見合いをしろ」と言った両親に
「結婚をしたい人がいる」と伝えた。
当然、いい顔はされなかった。それでも、彼女と結婚したいと躍起になった。
今から考えれば、ずっと両親が結婚相手を決めてしまうことへの反骨精神のようなものだったのか。
俺に両親が折れる形となり、婚約する手前で彼女が言った。
『やっと、ここまで来たわね』と。
確かに、反対されて、やっと婚約までこぎ着けた。でも、彼女が言ったのはそんな意味ではなかったのだ。何か違和感を感じた。
そんな違和感が、彼女との会話の端々に感じられるようになった。
『彼女はやめておけ』
何度もそう言った両親に、今まではただ彼女と結婚したいの一点張りだった。
なぜ、やめておけと言うのか、両親に訊いたのはその時が初めてだった。
両親から渡された興信所からの資料には、彼女が俺の素性を知って近づいて来たのだという多くの証拠が示されていた。
彼女は金目当てだと。欲のない彼女に、とてもじゃないが信じられなかった。
「見合いをしろ」と言った両親に
「結婚をしたい人がいる」と伝えた。
当然、いい顔はされなかった。それでも、彼女と結婚したいと躍起になった。
今から考えれば、ずっと両親が結婚相手を決めてしまうことへの反骨精神のようなものだったのか。
俺に両親が折れる形となり、婚約する手前で彼女が言った。
『やっと、ここまで来たわね』と。
確かに、反対されて、やっと婚約までこぎ着けた。でも、彼女が言ったのはそんな意味ではなかったのだ。何か違和感を感じた。
そんな違和感が、彼女との会話の端々に感じられるようになった。
『彼女はやめておけ』
何度もそう言った両親に、今まではただ彼女と結婚したいの一点張りだった。
なぜ、やめておけと言うのか、両親に訊いたのはその時が初めてだった。
両親から渡された興信所からの資料には、彼女が俺の素性を知って近づいて来たのだという多くの証拠が示されていた。
彼女は金目当てだと。欲のない彼女に、とてもじゃないが信じられなかった。