13番目の恋人
「モテそうなんだもん、でもね、まだ若いのだし、男性からあんな質問されたらセクハラだからね。あ、私もセクハラだったけれど。“想像におまかせしまーす”とか、“秘密でーす”とかなんなら“やだー、セクハラー”とか適当に流して。でも、冗談を言ったりするなんて、意外だった。楽しかったし、また行こうね」
 新庄さんは、私の背中をポンと一回軽く叩くと去って行った。
 
 ……交流、楽しい。こうやって、少し話せたり、笑顔で挨拶し合えたり、親睦っていいなと思わせてくれた。大宮くんに感謝しよう。私もありがとうって言おう。
 
「おーっす、おはよー」大宮くんの事を考えていたら大宮くんがちょうど通りかかる。
 
「あ、ありがとう!」
「は? 朝の挨拶は“おはよう”だろ」
「あ、そうだね、お礼言わなきゃって思ってたから、おはよう、ありがとう」
 「はは! ……なんだあ、それ。おーっと、仕事だな。今日も社食、一緒に食おーぜ」
「うん、万里子さんにも言っとく」
「んー、じゃあ後で」
 
今日も……万里子さんも、ということ……は野崎さんも一緒なのかな。野崎さんが帰った後から、特に連絡も取っていなくて、何度か見かけたけれど、顔を合わせるとなると、出来るだけ顔に出ない様にしなくては……。
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