13番目の恋人
結局、バタバタと食事を取ると先にそこにいた私たちより早く、常務も野崎さんも、万里子さんも仕事に戻っていった。
「な、繁忙期が来てる感じ……」
大宮くんが三人の後ろ姿を指差して言った。
「ほんとだね」
私達にとっては、初めて経験する繁忙期が迫っていた。
「ちょっと、わくわくしてる」
大宮くんはそう言った。
「私はヘマをしないか、ドキドキしてる」
「あはは! そういうのは、顔に出ないね。全然スマートにやりそう。顔に出るのはあの人のことだけ、か」
からかう大宮くんを少し睨んで、私も仕事へと戻った。常務の仕事は、経営に係わるとこよりも、現場に近い。大きなお金が動く案件は彼が出向く事が多い。
「こちらが、クライアントからの要望です。それに対しての調査内容、基本計画を大まかに報告書にまとめています。それまでに目を通して頂けますか」
「先方へのアポは?」
「明日の17時。その後の食事のお店がこちら、15時過ぎにはここを出て向かう様に手配しております」
「ん、優先順位は」
「取り急ぎ、今申し上げたものですね。こちらは承認頂きたいもの、こちらは、最終確認だけです」
口頭、メモ、再確認。私たち秘書が数人でまわなさきゃならない事を一人で消化していくのだから、俊くんは普段は変なお兄さんだけど、やっぱり格好いい。
「な、繁忙期が来てる感じ……」
大宮くんが三人の後ろ姿を指差して言った。
「ほんとだね」
私達にとっては、初めて経験する繁忙期が迫っていた。
「ちょっと、わくわくしてる」
大宮くんはそう言った。
「私はヘマをしないか、ドキドキしてる」
「あはは! そういうのは、顔に出ないね。全然スマートにやりそう。顔に出るのはあの人のことだけ、か」
からかう大宮くんを少し睨んで、私も仕事へと戻った。常務の仕事は、経営に係わるとこよりも、現場に近い。大きなお金が動く案件は彼が出向く事が多い。
「こちらが、クライアントからの要望です。それに対しての調査内容、基本計画を大まかに報告書にまとめています。それまでに目を通して頂けますか」
「先方へのアポは?」
「明日の17時。その後の食事のお店がこちら、15時過ぎにはここを出て向かう様に手配しております」
「ん、優先順位は」
「取り急ぎ、今申し上げたものですね。こちらは承認頂きたいもの、こちらは、最終確認だけです」
口頭、メモ、再確認。私たち秘書が数人でまわなさきゃならない事を一人で消化していくのだから、俊くんは普段は変なお兄さんだけど、やっぱり格好いい。