美青年幼馴染には恋人がいない。
よっし、仕事終わった!
栄美さんの所へ行こう!ダッシュダッシュ。


━━チーン。


営業フロアに行けるエレベーター。
相変わらず人多いな。


━━ガヤガヤ。


うっわ、いっぱい入ってきた。
急に満員電車なみ、っぐぅ~きっつい。
でも皆さん営業部の人だろうから、同じ階で降りるんだろうな…。
我慢我慢。


━━チーン。
━━ガヤガヤ、スタスタ。


やっと抜けられるけど、後ろの人が押してっ!


「っわ!」


こける…!


「っと、大丈夫っすか?」
「え、あ、すいません。ありがとうございます!!」


やばい、見ず知らずの人に抱き着く形になっちゃった。
って…。


「荒井さん?」
「え?あ、人事部の面接してくれた。えーっと確か」
「橘です。」
「そうっす。橘先輩。えーと、大丈夫っすか?」
「は、はい。大丈夫です。ありがとうございます。」
「いやいーっすよ。定時近くになると営業部出入りのラッシュがあるんで、気を付けてください。所で営業部になんかようっすか?」
「あ、はい。栄美さ、えーと。伊藤栄美さんいらっしゃいますか?」
「先輩はさっき帰っちゃいましたけど。」
「あ!え、あー。そうですか。なら大丈夫です。教えていただいてありがとうございます。」


帰っちゃったのか、くそう。
こうなればコンビニで買うしか…。


「先輩にどんな用っすか?」
「え!あー、仕事の要件じゃなくて。えーと」
「?」
「化粧品を借りれたらなって。でも、コンビニで買うので大丈夫です!」
「…。」
「荒井さんもごめんなさい引き止めってしまって。」
「あの」
「はい?」
「デートすか?」
「え?」
「いや、急を要する時ってそれぐらいしか、あ、あと合コンとか?」
「デートで合っていますが…。」


荒井さん、なんかつかめない人だな。
マイペースだ。すっごくマイペース。彰みを感じる。


「やっぱりそうっすか!ならきちんと整えないといけないっすよ!俺の化粧品貸します!ほらこっちきてください!」


━━ガシ。


「え?っちょ!!」
< 11 / 16 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop