美青年幼馴染には恋人がいない。
荒井レンという男

荒井さんがメイク道具貸してくれるっていったけど、どういう…?


「あ、あの」

「ここに座って」
「え、ここは?」
「ミーティングルーム。」


━━ドン。




何その音。
このメイクポーチ音がえぐいかったけど…?え?


「これって、全部メイク道具…?」
「そ。すごいっしょ。これ集めるのにまじ命かかってるから。ほら顔コッチ向けて。」
「え、あ、の。どういう??というか何でこんなにメイク道具もって…」
「五月蠅い。今からメイク直すんだから、目閉じて。」
「は、はい。」


荒井さんだよね?
あの俺様っぽいイケメンの荒井さんだよね?
何が起きて…、そういえば栄美さんの直属の後輩ってことは確かにメイン顧客層は女性向けの消耗品だけど。
荒井さん、実はメイク道具とか好きで志願したのかな…?
ぶっちゃけ顔で選ばれたのかと思った…。ごめんなさい、荒井さん。


「橘さん、メイク雑。面談の部屋入ったとき突っ込みたかった。まじで。」


喋れないから相槌うてない…。
なのに


「こら、顔動かすな。」


動かすなっていうし、頷くこともできないよ…。
ちょっと好きにさせよう。


「よっし。やっぱり、コーラル系が似合うと思った。橘さん青みピンク使ってるけど、コーラルの方が似合うね。それに、元がいいからそんなに塗らなくても綺麗。うっし出来たぞ。」
「あ、ありがとうございます?」
「ほら、鏡。」
「ありがとうございます。…え。」


これ誰?
いつもより綺麗。アイシャドウも綺麗だし、こういうオレンジっぽいピンクっぽい色付けたことないけど可愛い…。
いつもの私じゃないみたい!!


「橘さんはメイクを丁寧にするだけでうんと変わる。あと色ね、これからコーラル系を使ってもいいと思う…思います。スイマセン、俺なんか口調まずかったッスよね。先輩なのに、スイマセン。」


え、今更!?
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