美青年幼馴染には恋人がいない。
三人のリモート通話

「あーあー、聞こえてる?」
『あぁ、聞こえているよ。それで私に合わせたい人って、例の?』
「あーうん。そう、ちょっとまって呼んでくるから。」


あの公園でのあと、珍しく彰から連絡があった。
彰は基本的に連絡はこまめじゃないし、公園でどうせ会うからする必要がないってよくいってる。
携帯を携帯しない。
生まれてくる時代間違えたんじゃって思う。


『で、例の子はどこ?』
「あー、今呼んでくる。ごめんね幸助さん」
『遅刻してくるタイプなんだね。なるほど。』
「多分連絡に気づいてないだけだと思う…、本当にごめんなさい!」
『薫さんは悪くないよ。焦らず行っておいで。私はここでゆっくり待ってるから。』
「い、急ぎますっ!」


彰のバカ!!
幸助さんめっちゃ怒ってんじゃん!!!
そりゃそうだよ、紹介したいからって呼びだしたの私というか彰で!
なのに遅刻って…!
幸助さんが一番嫌いなタイプなんだからっ。


━━がちゃ。


「彰!いる!?」
「…いるよ。」
「いるなら連絡見て!!19時に家に来てって連絡したよね!!昨日!」
「…あ、ごめん。見てなかった。」
「そんなことだと思ったけど!携帯は携帯して!!」
「うーん、昨日も久しぶりに連絡したし…それに連絡ならパソコンで事足りて…本当にごめん。相手怒ってる?」
「もー、怒ってるよ。幸助さん常識のない人嫌いって公言してるんだし…。」
「え、そうなの?あ、行きたくなくなってきた。」
「彰が会いたいって言ったからセッティングしたんでしょ!!!とにかく、きて!!!」


今日彰と会うのが少し気まずいと思ってたけど、なんかいつも通りの彰で安心した。
きっと昨日のは大好きなお姉ちゃんがとられるぐらいの気持ちでつかんじゃったのかな?

とりあえず今は幸助さんの怒りを鎮めなきゃ。
失敗するなよ、彰!


「ごめんなさい!幸助さん、今連れてきました。…こちらが黒木彰です。」
「…この度はご足労いただきありがとうございます。こちらの連絡の不手際で遅れてしまい申し訳ありません。私が黒木彰と申します。しがない物書きをやらせていただいております。なにとぞよろしくお願い致します。」


え。

何その挨拶。
丁寧に自己紹介が出来たの?え、弟の成長を感じる姉の気分っ!!
感動する…。


『こちらこそお会いできて光栄です。薫の恋人の藤田幸助と申します。それにしても…かっこいいですね。黒木さん』


あれ?
幸助さんが怒りを鎮めるような丁寧な挨拶だったと思うけど…。
なんかまだ怒ってる…?
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