すてきな天使のいる夜に〜ordinary story〜
バーベキューが終わってからは、家の中に入り皆でトランプやゲームを楽しんでいた。
楽しい時間はあっという間で、音羽と瑛人は帰る時間になっていた。
気がつけば21時を回っていた。
「沙奈、私達そろそろ帰るね。」
「今日は誘ってくれてさんきゅーな。
サッカーの試合の時間とか決まったらまた連絡するから。
大翔先生、沙奈のことよろしくお願いします。」
玄関先まで見送りに大翔先生も一緒に出てきてくれた。
「任せて。瑛人君、少し大人気のない発言をしてしまってごめんな。」
「いいですよ。俺も、いつも危なっかしい沙奈のことをどこか妹のように感じていて、接していたので…。
気づけば、もう17歳の大人だから少しだけ気をつけないといけないですね。」
「幼なじみだからこそ、沙奈の気持ちもよく分かっているし、2人には沙奈のことでお世話になることもあると思うんだ。
俺の口から言うのは少し変だけど、瑛人君。沙奈とは今までと同じように接してあげてくれないか?
いきなり距離を取られたりしたら、沙奈も寂しいと思うから。」
「…いいんですか?」
「ああ。幼なじみの関係にあまり外から口出しするのもよくないと思って。
帰る時に、瑛人君に伝えようと思っていたんだ。」
大翔先生の言葉を聞いて、瑛人の表情は明るくなった。
少しだけ心配だった。
瑛人との関係性が変わってしまうんじゃないか。
距離が出来てしまうのは、確かに寂しいから。
「それじゃあ、気をつけて帰ってね。」
「ああ。沙奈も、ゆっくり休んでね。」
「おやすみ、沙奈。」
2人の姿が見えなくなるまで、私は2人を見送った。