すてきな天使のいる夜に〜ordinary story〜
沙奈の息が上がっていることに気づき、俺は沙奈から唇を外した。
「悪い。」
自分の気持ちが制御できず、沙奈に無理をさせてしまった。
沙奈の腰に手を回し、グイッと沙奈を自分の方へ引き寄せ抱きしめる。
「沙奈、心配しなくていいよ。
こんなに愛おしくて、温かい温もりは沙奈以上にいないから。
ずっと、愛するって決めた人の手をそう簡単に離してたまるか。
紫苑や翔太以外の誰かを信用出来なくなっていたのに、俺を信じて隣にいてくれること以上に幸せなことなんてないんだよ。」
「大翔先生…」
「沙奈、たしかに沙奈はまだ高校生であったとしても、俺にとっては関係ない。沙奈は誰にも変えられない大切な人だよ。
大人になるまでは確かに手は出せないし制限はあるかもしれないけど、俺はこうして沙奈に触れられるだけで幸せだ。
それに、何度も理性を堪えて来たんだからこの先も耐えられる。
余計な心配はしなくていい。」
「…ありがとう…。」
大きな瞳から、数多くの涙が流れていた。
「ほら、泣かないの。」
「嬉しい…。私、早く大人になれるように頑張る。
綺麗な女性になれるように、可愛くなれるようにいっぱい頑張る。」
「沙奈。
俺は、ありのままの沙奈が大好きだよ。
それに、沙奈はもう十分綺麗だし可愛いよ。」
俺にとって1番綺麗と思う女性は、沙奈しかいない。
容姿だけでなく、誰よりも優しく純粋な心も。
それに、透き通って見える茶色がかった綺麗な瞳も。
白く、きめ細かい綺麗な肌も。
沙奈の全てが、俺にとってはこの世に1番綺麗な女性だと思う。
高嶺の花のような存在だった君が、今はこんなにも近くにいてくれる。
それ以上の幸せなんてきっとないだろう。
「沙奈?」
静かになった沙奈の顔を覗くと、穏やかな表情で眠っていた。
「このタイミングで寝るか?」
そう思わず言葉にしていた。
本当、いつもなんの前触れもなく眠るんだよな。
温かい飲み物を飲んでないけど大丈夫かな?
さすがにここだと風邪引くよな。
俺は、沙奈をそのまま抱き抱えベッドの上へ寝かせた。
さて、俺もお風呂に入って今日はもう寝ようか。
時計に目をやると、もう日付けを越していた。
明日は俺も沙奈も休みだからいいけど、紫苑と翔太も遊びに来るしな。
沙奈を運んでから、寝室のエアコンの温度をいつもより高く設定を直し、加湿器をつけた。
お風呂から上がってから、俺は沙奈の隣に入り自分の元へ抱き寄せてから眠りについた。