すてきな天使のいる夜に〜ordinary story〜

ーside 沙奈ー



ぽかぽかした頭の中、私は目を覚ました。



隣には、優しい表情で眠る大翔先生がいた。



私の腰には、先生の大きな手が触れている。



その優しい手に安心する。



それより、今何時だろう…？



「ん？沙奈、起きたか？」




「ごめんなさい、起こしちゃった？」




「謝らなくて大丈夫だよ。


おはよう、沙奈。」



「おはよう…ございます。」



入院している時も、こうやって時々朝まで傍にいてくれて一緒に寝てくれることがあった。



でも、その時とは全く違う。



「沙奈、あんまり見つめないでくれ。」



あまりにも綺麗な表情に、思わずうっとり眺めてしまっていた。



そう言われ、私は大翔先生の胸の中へ頭を引き寄せられる。




「沙奈、紫苑と翔太は今日何時頃にこちらへ来るとか言ってたかな？」




「紫苑は、午前中診察があるって言ってて午後にはこっちに来れるみたい。


翔太は、今日研修に行くんだって。


だから、翔太は夕方になるってメールが来てたよ。」



2人がこちらへ来てから、紫苑と翔太も今夜一緒に大翔先生の家へ泊まるって言っていた。




大翔先生から、夜にバーベキューをするから友達を呼んでもいいと言われ、私は幼なじみの音羽と瑛人にも連絡を入れていた。



「分かった。そしたら、午後になるまでは沙奈と2人でお買い物とかに行けそうだな。


今日は、大人数だからたくさん買い出ししないとな。」



夏休みに入る前に、今日のことを大翔先生から紫苑と翔太、私のところへ連絡が来ていた。




その連絡と一緒に、個人的に私の元へ連絡があり、1日早く私を大翔先生の家へ誘われたことが本当に嬉しかった。




「音羽ちゃんと瑛人君は、迎えに行った方が良いよな。」



「音羽と、瑛人は紫苑が連れてきてくれるって言ってたから大丈夫だと思う。


2人とも、紫苑と翔太の連絡先を知ってるから。」




「そっか。それなら、安心だな。」



私が無理をしないようにと、高校に入った時に音羽と瑛人に2人は連絡先を渡していた。



「朝ご飯は食べられそうか？」



「うん。昨日より大丈夫そう。」


「よかった。」



ベッドから起き上がり、私と大翔先生は一緒に洗面台へ向かい歯磨きを始める。



鏡越しで、2人並ぶ姿を見ると思わず頬が緩んでしまった。




「嬉しそうだな。」



「一緒に歯を磨いたり、ベッドで一緒に話をしながら眠ったりするのっていいなーって思って。」



口の中が泡だらけで、上手く話せず嗽をしてから続けた。



「大翔先生が、隣にいてくれるだけで私は幸せです。」



「沙奈…


俺も、沙奈の傍にいられるだけで幸せだよ。


それに、こんなに自分の気持ちを外へ出して話してくれるようになったこともたまらなく嬉しい。」



大翔先生は、私を後ろから抱きしめそう話してくれた。



「よし、沙奈。朝ご飯食べようか。」



「はい！」



それから、テレビを見て話をしながらゆっくり朝ご飯をとった。



「今日は休みの日だから、お店人がたくさんいるかな？」



今日は日曜日。



休みの日だから、外もきっと人がたくさんいるよね。



「そうだな、今日はたくさんいると思うからなるべく人混みの少ない場所で買い物をすませようか。」