狂犬に愛される覚悟
朝、愛妃が目を覚ますと零王がジッと見つめていた。
「おはよ」
「おはよう…」
「愛妃の寝顔、子どもみたい。
年上に見えない(笑)
まぁ…いつも同い年みたいに可愛いけど…!」
クスクスと笑って、頭を撫でる零王。

「………」
「……愛妃?どうしたの?」
「もう…怒ってない?」
「怒ってないよ。
てか、昨日も怒ってたわけじゃないよ」
「で、でも…昨日の零王……零王じゃないみたいだったから……」
「だって、愛妃が離れようとしたから…そりゃあ、あんなふうになるよ…
昨日は怒ってたんじゃなくて、傷ついてたの」
「そうだよね…ごめんね……
もう…傷つけないようにするから、嫌いにならないで?」
少し上目遣いで、懇願する愛妃。

「うん、大丈夫。嫌いになるなんてあり得ないから…!
てか、その表情…ヤバい……可愛くて、またしたくなる……」
「もう…ダメだよ……仕事、遅れちゃう…」
「愛妃…拒否るのなしだよね……?」
「え……で、でも…」
「もう…黙って…!」
結局、そのまま抱かれた愛妃だった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「鈴野さん、大丈夫?
なんか、ボーッとしてる」
「え?あ、すみません!」
家を出るギリギリまで抱かれていた為、身体が思うように動かない。

「彼氏ってどんな奴なの?」
「え?」
「なんか気になって……」
「……可愛い人ですよ。よく言うじゃないですか?犬系男子って!その言葉がぴったりな人です」
嬉しそうに話す、愛妃。
佐崎はその姿に、言い様のない感情に包まれていた。
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