狂犬に愛される覚悟
狂犬は美男
「え?愛妃…!?」
「帰ろ?」
「うん!」
愛妃の方に行こうとして、一度振り返る零王。

「あ、俺の顔……覚えとけよ!
次…半殺しだワン!」
そう言って、愛妃のとこに駆けつけたのだった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
次の日の仕事中。
「鈴野さん、お昼一緒食べない?」
「え?はい」
昼休みに同僚と外に昼食に出た、愛妃。

「いつも送り迎えしてる男性って、彼氏?」
「え?はい、そうです」
「スッゴいイケメンだよね~」
「いいなぁ、鈴野さん」
「私にはもったいないです」
「彼氏さん、何の仕事してるの?」
「え?あ、掃除?」
「掃除って、清掃の仕事ってこと?」
「はい、たぶん…」
「へぇー、そんな風には見えないなぁ~!」
「どう見えますか?」
「モデルとか?」
「あー確かに!カッコいいもんね~!」
「今度、紹介してよ~!」
「え?あ、でも彼…忙しいから。無理かな?」
つい、嘘をついてしまった。
自分の恋人のことを誉めてもらえて、嬉しいはずなのにヤキモチからなのか、とても苦しい。

仕事が終わり、いつも通り出入口で待っている、零王。
「愛妃~お疲れ~」
いつもの人懐っこい可愛い零王がいた。
「うん…」
【イケメン】や【カッコいい】と言っていた同僚の話が甦る。
「愛妃?」
「帰ろ?」
「うん、はい!ヘルメット」
ヘルメットを受け取り、後ろに乗って零王に抱きついた。
「しっかり、掴まっててね!」

マンションまでの帰り道、背中から伝わる零王の温かい体温に涙腺が緩む。
「好き……」
「………」
バイクのエンジンの爆音で、零王には全く聞こえない。
「大好き…零王」
抱きつく力を強めた。
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