狂犬に愛される覚悟
言葉の通りほんとに寝かせてもらえず、外が明るくなった頃━━━━━

「愛妃…もう、一回……」
「も……ダ……メ…」
一晩中、ほとんど叫ぶように声を出し続け、愛妃は声が枯れていた。
身体中キスマークだらけでぐったりし、本当に壊されていた。

それでも零王は止まらない。
零王の愛妃への愛情も、狂い壊れていた。


この日は零王が愛妃の職場に連絡して休ませ、一日中身の回りの世話をしていた。
「零王…」
「ん?何?トイレ?それともお腹すいた?」
今はソファに座っている零王の足の間に、愛妃が座っている。

「ううん、もう大丈夫だよ。
あとは自分で……」
「ダメー!今日は俺がお世話するの!
ごめんね…ほんとに愛妃を壊しちゃった…!
だから、お世話する!」
「それはもういいよ。今度からはちゃんとその都度、報告するから」
零王に後ろから抱き締められ、その腕に顔を埋めた愛妃。

「それは、それ!」
「でも、なんか変な感じ…」
「え?」
「私の方が年上なのに、お世話してもらうなんて……」
「なんか年上って感じ、しないんだよなぁ。
愛妃が小さいからかな?守ってあげたくなる」
「年下に見えるの?」
「うーん。同じくらいかな…!」
「えー!あ、でも20歳っていいな!まだまだ若いって感じで!
しかも零王に出逢った時くらいだ!」
「あーそうだったね!あの時も可愛かったなぁ、愛妃」
「あの時の零王、荒れてたね……
いつも顔とか身体に傷があったな……」
「確かに、喧嘩ばっかしてた。
正直、いつ死んでもいいって思ってた。
でも、愛妃に会うと癒されてまた頑張ろうって思えたんだ!
だから、今度は俺が愛妃を守りたい。ずっと傍にいたい」
愛妃は、後ろから回っている零王の手の指に自分の指を絡ませ、握った。

「私も、ずっと傍にいたい」
そう言って、手にキスをしたのだった。
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