狂犬に愛される覚悟
零王は、先程言った通り愛妃に一目惚れだった。
愛妃の柔らかい笑顔に、毎日癒されていた。
当時中学生だった、零王。
その頃の零王は、かなり荒れていた。

毎日のように色んな暴走族などのチームに喧嘩を売りに行き、喧嘩三昧だったのだ。
高校生になる頃には、零王に勝てる人間はいないとまで言われるようになっていた、零王。

そして今の仲間の一人・岩木 律に誘われ、暴走族に所属したのだ。
そこでも一気に総長まで上り詰めた。
そして、二年程かけて愛妃を口説いて恋人になり現在に至る。


「ねぇねぇ、愛妃~」
「んー?」
零王が愛妃の膝に頭を乗せて見上げ、ゴロゴロ甘え出す。
これは、零王が愛妃を抱きたいと言うサインのようなものである。
「今日はダメだよ!明日、仕事早いの。
もうお風呂入って寝なきゃ!」
「えーー!やだ!」
「えーー!私もやだ!」
「てか、無理やりするけどね!」
「え……?」
「とりあえず、お風呂入ろ?一緒に!」
「え?一緒?
毎日一緒に入ってるよ」
「毎日、一緒に入るんだよ!」
「え?そうなの?」
「え?そうだよ!
てことで、レッツゴー!」
愛妃を無理やり引っ張り、風呂場に行く零王だった。

「また耳まで真っ赤だね、愛妃」
浴槽で後ろから抱き締められている、愛妃。
なかなか慣れない。
小柄の身体を更に小さくしている。
そんな愛妃のうなじにキスをする、零王。
「んん……え?零王?」
「愛妃がこっち向かないから、キスしたの。
キスマークついちゃった!」
「え?嘘!?どこ?」
「うなじ」
「えーー!服で隠せるかな…?」
「大丈夫だよ」

ほんとは、はっきりと見える位置につけた零王。
最近、愛妃のショップに男性社員が入ったからだ。
実はかなりのヤキモチ妬きの零王。
コソッと、こんなキスマークをつけているのだ。
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