狂犬に愛される覚悟
「これが、愛妃ちゃんの“覚悟”だったんだな」
律の言葉。

愛妃の葬式後の斎場。

みんなが集まっている。
零王はずっと愛妃の棺の傍から離れない。
冷たい愛妃の頬をずっと撫でている。

「愛妃…ほんとに“天使”になっちゃったね」
「可愛い天使だな」
「確かに…(笑)」
絵美と律が話している。


「零王」
「ん?」
「愛妃のことずっと口説いてたじゃない?
でも、なんで二年もかかったと思う?」
「さぁ?」
「覚悟の準備が、まだできてないってよく言ってたのよ」
「覚悟?」
「零王の彼氏になるなら、傷つく覚悟と傷つける覚悟が必要だからって!」
「………」
「零王が喧嘩ばかりでそんな零王を見たくないけど、
いつも零王は私や仲間の為に戦ってるから。
私が覚悟しないといけないって!
そして、その分…私自身も傷つく覚悟をしなきゃって!」
「だからって、死ぬことねぇじゃん」
「零王の為だよ!」
「は?」
「私は零王の為に死ぬ」
「は?」
「……って、言ってた。
私が死んだら、それは零王の為だよって!
私も零王を守りたいって!」
「愛妃……愛妃…」

「零王、死ぬなんて考えるなよ?」
律の力強い声。
「それは、愛妃ちゃんへの裏切りだぞ!」

「あぁ、そうだな。
だったら俺は、愛妃の為に生きてやる!」
そう言って、愛妃の口唇にキスをした。
いつなら、苦しいと言ってもがく愛妃。
何の反応もないが、零王にとって一番幸せで苦しいキスだった。

きっとこれからも零王は、力の限り生き続けるだろう。

愛妃の為に━━━━━━━━




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