幼馴染は片思い中
大好きな人がいる


ずっとずっと大好きな人




「朔(さく)君!」



ばたんっ!


勢い良く扉を開けば
ソファーでぼんやり本を読んでいた朔君が、ゆるりと顔をこちらに向ける


そんな朔君に近付いて
ぼふりとその胸に飛び込む


「今日はどうした」

「どうもしてない。充電」


朔君の膝に顔を乗せて、横になりながら
ぎゅーっとその細い腰に手をまわす


「嘘つけ」


朔君は片手で本を読み続けたまま
もう片方の手で、私の頭を撫でる


「なんかあっただろ」

「…」

「別にいいけど」


笑顔を張り付けたまま、無言を返せば
朔君は今度は私のほっぺたを
むにむにとつねった


何も考えてないようで考えていて
見てないようで見ている

でも、深くは干渉してこない


そんな朔君が好き


そっけないけど
なんだかんだ甘やかしてくれる


そんな朔君が好き
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