幼馴染は片思い中
「…美人さんだ」

「へ?」


思わず口から溢れた本音に
その子は赤くなった目を丸くして
呆けたような声を出した


「…」


……どれだけ泣いてたんだろう

泣き腫らして、真っ赤になった目


………痛そう



私は保健室に備え付けの洗面台に移動して
ポケットから取り出したハンカチを濡らす



「はい」

「え?」

「使ってないから」



きょとんとしていたその子は
差し出したハンカチと私を交互に見て
それからそっと、ハンカチを受け取った



「……ありがとうございます」



ほんの少し
嬉しそうに緩んだ表情を見て
私は、ほっと安堵した
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