幼馴染は片思い中
「珍しい。ゆたかが自分から他人に声かけるなんて」

「だって、泣いてたから」


保健室での出来事を話せば
ベッドで雑誌を眺めていた朔君は
言葉通り、物珍しげな視線を私に向けた


「で?なんで泣いてたんだよ?」

「……にごしてたけど
多分、嫌がらせされてる」


机に置いてあったブレザー、汚れてたし
上履きも来客用のだった


「なんで」

「……分からないけど。
すごくね、かわいくて
いい子そうだったのに」



……。


言ってから
あ、と思う


「それが理由だろ」

「…」


同じ結論に至った様子の朔君が
めんどくさそうにため息をつく


「女の妬みほど
めんどくさいもんねーよ」
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