幼馴染は片思い中
「調子乗ってんじゃねーよ!」


……!?


がしゃんっ!!


何かが倒れるような音と
苛立ったような怒鳴り声が響いて


びくりと立ち止まる



…………なに……?



曲がり角の向こうで
誰かを激しく罵る声が
放課後の人気のない廊下に響く



「ちょっと見た目がいいからって
いい気になって」

「てか、お前
なに担任にチクってんの?」

「まじ、ありえないんですけど」

「そうやって、か弱いふりすれば
周りがどうにかしてくれるとでも思ってるわけ?」



おそるおそる覗き込めば
階段脇の自販機の前に女生徒が数人

さっきのすごい音は
どうやらごみ箱を倒した音だったようで

フタが外れて
空き缶や空のペットボトルがあたりに散乱してた


かなりご立腹の様子のその子達
怒りの矛先は、ひとりの女の子に向けられていた



視界に入ったその姿に、私は固まった



倒れたごみ箱のすぐ傍に座り込んで
自分を囲むその人達に怯えた表情を向けていたのは


日山さんだった
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