幼馴染は片思い中
かなり強く掴まれたみたいで
日山さんの表情が痛そうに歪んで

目には涙が滲んでる




……どうしよう


どうしようどうしよう


このままじゃ、日山さんが……





助けなきゃ




そう思うのに





『気持ち悪いんだよ』




…………目の前のその光景に
『あの時』の出来事が重なって




「……っ」



身体が震えて


足がすくんで、動けない




「ゆたか?」




―――……。



……聞き慣れたその声に、涙が出た



「……………朔君……」


振り返れば、そこには少し驚いたような顔で私を見つめる朔君がいた


「なに泣いて…」


「さ、朔君…っ!
お願い…助けてあげて…」


弾かれたように身体が動いて
震える手で朔君にしがみついて懇願する


「泣いてるの、怖がってる
助けてあげて…」


あたりを見渡して
『その現場』に気付いた朔君は
すぐに現状を理解して動いた


「牧(まき)、ゆたか頼めるか?」

「いや、俺が行く
朔はその子と一緒に先生呼んできて」

「分かった」


取り出したスマホで何枚か写真を撮った後
すぐ傍にいたその人に後を任せて
朔君は私を連れて、その場から離れた
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