幼馴染は片思い中
学校は嫌い


「でねー」

「え~、まじ?」


些細な話し声が耳に響いて

音とか匂いとか
人の目とか表情とか

普通の人ならさして気にも留めない事が気になって

身体が過剰に反応して



具合が悪くなる





「あら、音無(おとなし)さん」

「ごめんなさい
今日もこっちでお世話になります」

「いいのよ
ベッド使う?」

「お願いします」


保険医の臼井(うすい)先生に頭を下げて
それから、私はベッドに横になる



入学してからほとんど毎日、保健室通い
朝は頑張って教室に行って、授業を受けるけど
お昼まで持たずにダウン


ベッドで少し休んで
その後は大体、教室には戻らず保健室で自習


今はまだ入学したてで
自学自習でも授業にはついていけてるからいいけど

これが長引けば
色々困ったことになるのは明白で
どうしようと頭を抱えてる


「…」


……集団生活、向いてないなぁ


中学の頃から前兆のようなものはあったけど
高校に入ってからは本格的に
身体が学校と言う場所を拒否し始めた


漫画とかアニメで
高校生活に憧れを抱いていたけど


実際は2次元みたいに
きらきら甘く、楽しくとはいかなかった


「…休もう」


小さくため息をついて、私は目を閉じた
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