幼馴染は片思い中
うっすらにじむ視界の先で
日山さんは変わらず柔らかく笑って
私に手を伸ばした



「お友達になってくれませんか?」




怖がりで


弱くて


ずるい



そんな私でも



それでも構わないって言ってくれる



そんな私と一緒にいたいって言ってくれる




一緒にいて、楽しいって、嬉しいって


そう、言ってくれる




「……日山さん」




朔君以外で初めて


私を受け入れてくれた人




みっともなく泣きながら、その手を取って




「……私…
日山さんとあのお店に行きたかったの…」




言えなかったもうひとつの言葉を口にした




「……一緒に、行ってくれる…?」




自分でも分かるくらい不安そうに揺れる声




だけど、それを打ち消すように
明るい笑顔が返ってきて




「喜んで」




とっても嬉しそうな表情を浮かべながら
日山さんは強く私の手を握り返した
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