幼馴染は片思い中
翌日



「おはよう。朔君」

「はよ。じゃ、行くか」

「うん」


玄関先で待っていた朔君に駆け寄り
歩き出す朔君についていく


……。


平静を装っているけど
内心は落ち着かない


だって

普段から朔君と一緒にいる時間は長くても

こうして、朔君とふたりで出かけるのは
かなり珍しいことだから

(いつもは朔君の家に入り浸って
ゲームしたり、漫画読んだり、アニメ見たりしてる)


なにより


冗談でも『デート』のお誘いに
朔君が頷くなんて思わなかった



…でも、朔君は多分
深く考えてないんだろうな

単純に
私が喜ぶからって理由で動いてるだけで
そこに恋愛感情はない

可愛い妹のわがままを聞く兄のようなもの


……って
分かっていても
嬉しいし、意識しちゃうんだよなぁ…



「ゆたか」

「…へ?あ、な、なに?」

「ん」

「?」


不意に立ち止まった朔君が
私に左手を差し出して

意図が分からず、首を傾げれば
朔君は私の右手をつかんで


「デートなんだろ?」


言いながら、優しく手を握る

繋がれた手を見下ろして、一瞬呆ける私
でも、すぐに現状を理解し、慌てた


「……さ、朔君、今日おかしくない…?」

「なんで」

「だ、だって…」

「いつも、抱き付いたり
好き好き言ってくるくせに」

「私からするのと
朔君からされるのは別なのっ」
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