幼馴染は片思い中
「でも、大丈夫だから
朔君、もう帰っていいよ
今、バイト忙しいでしょ?」


朔君がバイトしている飲食店
少し前にメディアの取材を受けた影響で
お店は連日大盛況

人手が足りてなくて、てんやわんや

そんなにシフトに入ってなかった朔君も
駆り出されることになり

ここしばらく
放課後はほとんどバイトざんまいだった



「今日もバイトだったはずだよね?」

「今日は休んだ」

「なんで?」

「ゆたかが心配だったから」

「…」



………本当に…
朔君のこういう不意打ち、やだ……


なんてことのないように
さらりと言うのやめて欲しい


落ち着いてきていたはずなのに
別の意味でまた全身に熱が走る


「…大丈夫だから」

「大丈夫じゃねーだろ
顔、真っ赤だぞ」

「……これは、朔君のせいだもん…」

「?」



顔を両手で覆い隠して
ぼそりと呟けば

朔君は
意味が分からなそうに首を傾げていて


無自覚な朔君に私は深くため息をついた
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