幼馴染は片思い中
「―――」







「――…か」



……



「ゆたか!」



必死なその呼び声のおかげで
悪夢から覚めた



……。


………
……………いつも……



………いつも、私が沈みそうになる時に
助けてくれるのは



決まって、同じ人



「起きたな」

「…」

「うなされてた。大丈夫……じゃ、ねーな」



心配そうに眉根を寄せる朔君、その人



汗まみれでべたべたの肌にも
気にせず触れて

私の体温を確かめると
眉間のシワが一層深くなる


「また熱上がってきたな
もう一回、解熱剤飲んで…」

「……さく、くん」

「ん?」

「さくく、も……いつか……おいてく…?」

「?」

「……わたしを、おいてく……?」



たどたどしくて、不安そうに揺れる声

今にも泣き出しそうな程
声も体も震えていた


悪夢を視たせいで
心がひどく騒いでた


動悸がおさまらなくて

呼吸が浅くなって






…………………こわい……






朔君に置いていかれたら



ひとりになったら





私は一体どうなるんだろう
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