幼馴染は片思い中
ただ


…………今は、もう…


朔君の顔、見たくない



胸が痛くなる






「――――」



朔君が何か言ったような感じがしたけど
何を言ってるのか聞き取れない


だから、そのまま視界を閉じた



けど



「…」



不意に訪れたその感触に
同時に口の中に広がった冷たさに

何事かと
再び、閉じてた視界を開けば



……。


…………痛くなるから、見たくないのに……



本当に目の前に、大好きな人の顔



ほとんどゼロ距離で
何かを訴えるように
じっと私の瞳を見つめる

その真剣な眼差しからは
目を背けることは出来なくて


重なった唇が離れても


そのまま私は意識を手放すまで
朔君から目を離すことが出来なかった
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