幼馴染は片思い中
「……」



ふらふらと、あてどなく校内を歩く



……引っ越し


………
……………朔君が、いなくなる…



伝えられた言葉を
繰り返し繰り返し、反芻する



……いなくなる


……。


……どこか、遠くに……行っちゃう…?



「…」



頭の中が混乱していて

飲み込もうとしても飲み込めない

受け入れられない



……。



『ひとりにしない』



愕然としている脳内で


ふっと、浮かんだ


おぼろ気に残っていた、あの日の言葉



………。


……
……………ほら、やっばり……



「……朔君の嘘つき」



分かっていた事なのに
傷付くなんて馬鹿みたいだ


……。


朔君を責めるのは、筋違い


全部、私がこんなだから


置いていかれるのは当然



……。
………私が、もっと……




「誰が嘘つきだって?」

「!」

「やっと、見つけた」

「…さ、朔君…」



正面から現れた朔君

驚きと戸惑いが全身を走って
逃げ出そうとしたものの
すでに、朔君が逃げ道を塞いでいて

瞬く間に、壁際に追い詰められた私



「なんで避けんの?」

「…」

「日山の家にまで逃げて」

「…」

「学校でも、全然つかまんねーし」

「…」

「ゆたか」


何も答えず、黙って下を向く私

しびれを切らしたかのように
少し強引に、私の顔を上向かせる朔君
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