幼馴染は片思い中
「……あのさ、ゆたか」


そんな私に、戸惑う朔君
なんで私がそんなに泣くのか、理解できない様子

だけど、それから
何かを考えるように沈黙して
「もしかして…」と、言葉を続ける


だけと、私はそれを遮って



「……朔君が好き」



両手で顔を覆いながら、小さく呟いた



「…知ってる」



涙声の突然の告白に
若干、戸惑いがちではあったものの
朔君は、いつも通りに答えた



「朔君は?私のこと好き?」

「好きだけど」



本当に、いつも通りに
変わらない「好き」を



「……嘘つき」

「なんで嘘になるんだよ」

「………朔君の好きは、私のと違う」



そう、全然違う

朔君は私を『妹』として見てる
家族愛に近い親愛の『好き』


どうせ叶わない恋なら
私もそれで満足しようって思った

『妹』として、朔君の傍にって


妹なら一緒にいられるって思ってた
一番近くにいられるって

でも、そんなの無理なんだって分かった


妹なのに、嫉妬して

妹なのに、特別を欲しがって

誰よりも、何よりも一番を欲しがるなんて
そんなの妹じゃない

私は朔君の妹になんてなれない



なりたいのは…



一緒にいていい理由が欲しい

ずっと傍に、一緒にいられる理由が

離れたって大丈夫って確証が持てる


その関係が欲しい



朔君の特別になりたい

朔君に特別になってもらいたい
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