幼馴染は片思い中
「……………うそ……」

「なに、まだ信じられない?
もう一回する?俺は全然いいけど」


今起こった出来事が信じられなくて
真っ赤な顔で、その場にへなへなと崩れ落ちる私

しゃがみこんだ朔君は冷静な顔で
そんな事をいいながら、私のほっぺを軽くつまむ


「…ゆでダコみてぇ」

「…っ」


指摘されて、ますます赤くなる私
腕で顔を隠しながら
面白そうに笑ってる朔君に問いかける


「………だって、朔君、今まで
そういう素振りなかった…」


好きだって言っても
抱きついても
一緒に寝ても

朔君は全然動じなくて

ただ、私を甘やかすだけで


だから
私は朔君に妹としてしか見られてないんだって思ってた


「抑えてただけ」

「……なんで?」

「色々やらかしそうだったから」

「やらかす?」

「……お前は知らないだろうけど
俺、結構重いから」


言うのを若干ためらうように、朔君は答えた


「怖かったんだよ
お前の自由を奪ったり
傷付けるようなことしそうで」

「……朔君は、私が嫌がることしない」

「お前、俺のこと信用しすぎ」


呟いた言葉に、朔君は呆れたように返して
くしゃりと前髪を掻きあげながら
困ったように笑う


「何度、お前を閉じ込めようと思ったか
襲いそうになったか、知らないだろ?」



「小さい頃から、朔君朔君って
俺の後ばっかついてきて…」


「いつも嬉しそうに、にこにこ笑って」


「あんだけ懐かれて
好きにならないはずねーだろ」
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