幼馴染は片思い中
「……そんなんだから、困るんだよ」


さっきまで慌てふためいていたのに
打ってかわって、けろりとした態度で
すんなりと受け入れた私に
朔君は渋い顔をして、深々とため息をついた


「あんま、煽んないでくれる?
しんどいから」


顔を上げた朔君は
不機嫌そうに、そんなことを言いながら
私のほっぺたを、むにむにとつねる


…。


大事にされてるって
言葉や行動の端々から伝わる


だから、私は朔君が好き



「朔君」

「なに」

「大好きだよ」

「……知ってる」


ほっぺたをつねる指が離れた隙に
朔君に抱きつく

想いを伝えれば
朔君は一瞬、動揺したかのように固まって

だけど

にこにこ笑いながら
朔君を見上げれば

朔君は根負けしたように
ため息をついて

それから、柔らかく笑って
私を抱き締め返した
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