幼馴染は片思い中
「なんか、すぐ結婚しそうな勢いだね」

「そうだな」

「あいりちゃん
ウェディングドレス似合うだろうな」

「ゆたかは、いつ結婚したい?」

「え?」

「先に手、出したの俺だし
責任とるけど」

「…」


他愛ない会話の流れから
とんでもない発言をされて、呆ける私

爆弾宣言をした当の本人は
テーブルに頬杖をつきながら
涼しげな顔で、私の返答を待ってる


……。


両想いなのが、分かって
朔君の気持ちも、ちゃんと伝わって
自分の気持ちも、しっかり伝えた


でも、付き合おうとか
恋人になりたいとか
そういう話はしてなくて

手を繋いだりとか
……キスとか

そういうことも、あの日以来なくて


友達以上、家族以上、恋人未満?のような


相思相愛ではあるけど
はっきりと
名前のつかない関係性が続いていた


けど、前よりも
心の距離は近くなっていたから


うぬぼれじゃなく

朔君の一番は自分なこと

朔君にとっても自分は特別で

なによりも大事にされてるって

それが解ったから


だから、一見、不安定に見える今の関係に
不安とか、心配とか、不満とか
そういうものを感じてなかった


朔君と一緒にいられるだけで
充分、満足だったから


だから、不意打ちのその言葉に
私は、目を丸くしていた
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