レインコートもいいけど、傘は必要
4.なにも知らないくせに


 翌日の放課後。


 昼休みに止んでいた雨が、再び雨音をたてて降り始めた。

 アスファルト道路の窪みにできた大きな水溜まりを見ると、丸い波紋が点々と浮かび上がってる。


 どんよりと濃い灰色の雲が空を覆って、太陽の日差しは顔を隠す。

 典型的な梅雨時の空で、天気の予想ができない。



 行き交う車のタイヤから、激しく水しぶきが上がってる。

 そして、一気に気温が上昇して蒸し暑くなってきた。


 授業が終わり、下校する生徒たちは生徒玄関を出た屋根の軒下で傘を開き、友人たちに別れの挨拶をして帰路につく。



 そんな中、姫井 渚は一人で教室に残り、自分の席にポツンと座っていた。

 窓際の席に座る姫井は、机の上に頬杖をついたまま大きな溜息をついてる。



「はぁ……」





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