レインコートもいいけど、傘は必要
三人組の女子生徒は、次の駅で下りて目的の場所へ向かっていく。
気まずい空気の車内、星野と姫井は口を閉じたまま視線を合わせようともしない。
高校のある駅に電車は到着、二人は重い足取りで下車する。
改札口を出ずに、目の前にある横長のベンチ椅子に揃って腰を下ろした。
俯いたまま口を噤む姫井は、長い髪に隠れて顔の表情が見えない。
脱力したままの星野も、座り込んで立ち上がることができなかった。
外は小雨が降り始めたけど、この駅はホームに屋根があるので濡れる心配はない。
でも、一気に湿度が高くなって蒸し暑く感じる。
すでに登校時間は過ぎて、遅刻は避けられない状態。
姫井を一人にしておけない星野は、無言で隣に座ったまま雨雲を見つめてる。
二人の間に短い沈黙が続いた後、姫井が静かに口を開いた。
「星野くんに、ぜんぶ知られたわね。私の過去を……」